2009年12月31日木曜日

「クラウド」で何を売りますか?何を買いますか?

  IT業界の今年を振り返れば、クラウドに明け、クラウドで暮れた一年だった。猫も杓子もクラウドである。なんだか、この言葉を使わなければ、時代に取り残されたような気持ちになる。

 景気が低迷を続ける中、何とかお客さまの関心を惹くために、その価値を斟酌することもなく、ただ目新しいからという理由だけで、このキーワードを乱発するソリューション・ベンダーも少なくない。

 また、ユーザー側も、一層のコスト削減を迫られ、自身のリストラも危ぶまれるなか、クラウドに可能性を求めた。

 まさに、「クラウド強迫神経症」とでも言うべき空気が、このIT業界に漂っていた。

 しかし、その神通力もそろそろ切れ掛かっている。「何だろう?」の好奇心から、「どうしよう?」の現実論へと、クラウドを取り巻く意識が、大きく変わり始めている。

 もはや「クラウドとは何か?」の期間は終わった。これからは、「クラウドをどう使えばいいのか?」を考える時期にさしかかっている。

 だからこそ、改めてクラウドの本質を冷静に見極め、産地偽装と本物のクラウドを見分ける必要がある。その上で、何が価値で、何がリスクかを公平に見極め、自分達にもっともふさわしい使い方を選択する。その駒は、そろそろ出揃い始めたといってもいいだろう。

 では、どのような使い方があるのか、そして、それがとのような効果を生み出すのか。簡単に整理してみようと思う。

  まず、クラウドとは何かについて、共通の認識を持っておいたほうがいい。とにかく、いろいろな人が、いろいろな定義をしている。そんな中、米国商務省の国 立標準技術局(NIST:National Institute of Standards and Technology)が、「クラウドコンピューティングの定義(The NIST Definition of Cloud Computing)」を公表している。これは、世の中の意見をうまく取りまとめた定義になっているように思う。

 以前のブログに日本語の解釈を載せた。この解釈で使用した文書は、2009年の6月に公開されたものである。10月にも新たなリリースが出ているが、大きくは変わっていない。つまり、そろそろ定義が、落ち着き始めているともいえる。

 では、どのような使い方が、効果的なのか、5つの可能性を考えてみることにしよう。

1.開発・テスト環境

 大手企業の場合、約半数のサーバーが開発やテストのために導入されているといわれている。稼働率も低い。これをクラウドという形で集約できれば、大幅なコスト削減が図れるものと期待できる。

 サーバーの仮想化とどう違うかということになるが、クラウドにあって、サーバーの仮想化にないものを考えると話が早い。NISTの定義に従うと、「オンデマンド・セルフサービス」と「システム資源のプール」ということになる。

 開発・テストが必要になったとき、人手を介さずに、かつ必要量のサーバー資源をダイナミックに割り当てることができる仕組みである。

 この仕組みが備わっていることにより、開発・テスト環境の構築は、大幅に短縮され、それに伴う、設備投資や運用管理に伴うコストを大幅に低減できることが期待される。

 大企業であれば、これをエンタープライズ・クラウド(企業内クラウド)とすることも考えられる。しかし、中小企業には、現実的ではない。従って、パブリック・クラウド(インターネットを介した公開型クラウド・サービス)が、現実的だ。

 また、開発・テスト用途であれば、セキュリティ・リスクも比較的少ない。その意味からも、パブリック・クラウドは、現実的である。

 もし、Windows Serverを使用している企業であれば、Windows Azure Platformは、検討に値する。なんといっても、オンプレミスと同じ環境を実現でき、Visual Studioに対応しているわけだから、使い勝手がいい。

 このように、開発・テスト環境として利用するのが、もっともリスクが少なく、コスト効果を短期に引き出すことができるのではないかと考えられる。

2.ピーク性の高いアプリケーション

 基幹業務系のアプリケーションは、ピークの予測が比較的容易であり、またその範囲も限られている。しかし、Webでのキャンペーンやオンライン販売などは、そのピークが予想できないことに加え、そのピークと定常時のギャップが、相当に大きなものになる場合がある。

 このようなタイプのアプリケーションは、クラウド向きといえるだろう。最低限のコストからはじめ、ダイナミックにシステム資源の割り当てを増減できる。

 オンプレミスとの組み合わせにより、このようなシステム環境を実現することも可能だろう。つまり、平時は社内システムを、負荷が大きくなりそうなときには、クラウドを使うという組み合わせだ。

 Windows Azure Platformは、そのあたりを念頭に置き、「シームレス・コンピューティング」環境を実現しようという戦略のようだ。

 (ところで、何度もAzureを引き合いに出すが、断っておくが、私はマイクロソフトの回し者ではありません(笑)。ただ、Azureの戦略は、これからのクラウドの使い方や可能性をよく研究して組みたてられたことが伺えます。その意味で、大いに参考になりますね。)

3.クラウドの課題を補完するサービス


 コストの安さで勝負するためには、大量のサーバー群を保有することが、ひとつの条件となる。しかし、このようなサービスを提供できる企業は、限られている。とするならば、他の価値を見出さなければ、売るに売れない、買うにも魅力がない。

 その切り口が、「クラウドの課題を補完するサービス」である。

  例えば、Google Appsを使えば、サーバーの所有に伴う一時費用や運用負担が軽減される。しかも、オフィース・アプリケーションであれば、可用性も基幹業務システムほど には必要ない。しかし、社内の機密情報やメールアドレスに付随する個人情報をGoogleに預けるには不安がある。そこで、個人認証は、社内のサーバーで すべて行い、社内で認証した結果だけを Google Appsに送りそこで認証。機密情報は暗号化して、社内のサーバーに残し、リンク情報だけをメールで送る。そうすれば、クラウドの良さを活かしつつ、その課題を解決することができる

  他にも、コンプライアンスやデータの保全性への不安も払拭できないものがある。ならば、その課題を解決するために、地域や業界でサーバーを運用して、サー ビスを提供することも意味があるだろう。コストは高くなっても、人や設備に依存することがなくなれば、ユーザー企業のメリットも大きいはず。

 このように、クラウドの課題を正しく評価したうえで、それを補完することができれば、そのサービスは、ユーザーに受け入れられるだろう。

4.クラウド・ブローカー

 クラウドによるサービスが多様化する中、ユーザーは、その選択や組み合わせに苦労することになるだろう。そこで、ユーザーにとって最適な組み合わせを提案し、それを構築、提供する事業者が必要になる。このようなサービス事業者を「クラウド・ブローカー」と呼ぶそうである。

 つまり、システム・インテグレーターのクラウド版ということになるだろう。

 ここに「クラウドの課題を補完する仕組み」も組み入れ、サービスとしての付加価値を高め、差別化を図ってゆくことも可能になる。

 ただ、今までのSIと大きく異なるところは、システム機器販売や環境構築の割合が、大幅や減ること。そして、システム技術力の価値が、相対的に小さくなることである。

 つまり、業務プロセスやアプリケーションにかかわる課題の整理、企画・提案といった、より上流に関わることができる能力が、求められるようになる。

5.デバイスの多様化を意識したアプリケーション・サービス

 クラウドの重要な特徴のひとつが、マルチデバイスである。Java Scriptが、サクサク動くブラウザーが搭載されていれば、それはすべてクラウド端末になりうることは、以前のブログで書いたとおりである

 PCの年間出荷台数は、3億台、これに対して、携帯電話の出荷台数は、PCの4倍に当たる12億台。うち、iPhoneなどのスマートフォンは、1億5千万台程度である。

 携帯電話の普及、特にスマートフォンの成長率は、PCや他の携帯電話を大きく上回っている。このような状況を考えると、クラウド・サービスの対象をPCに限定してしまう必要はないわけで、むしろ携帯やスマートフォンに向けたサービスを積極的に取り組むべきかもしれない。

 それは、かならずしもコンシュマーを対象とするものではない。最近iPhoneを使い始めたが、その機能や使い勝手の良さは、驚くばかりである。ネットワーク・サービスを利用する上でのPCの利用頻度が大幅に減ったことは確かである。

 法人をお客様としている多くのIT企業は、意外とこのあたりの感性が低いようだ。真剣に研究してみる価値があると思うのだが、いかがだろう。

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 さて、思いつくままにいろいろと書き連ねてみたが、何かご参考になっただろうか。まだまだ、いろいろな切り口はあるだろう。是非そのあたりは、正月のお屠蘇気分に浸りつつ、少し常識を逸脱して、考えて見られてはいかがだろう。思わぬ発想が生まれてくるかもしれない。

 ひとつ、最後に申し上げておきたいことがある。

 IT業界の不況は、世の中の経済指標が上向き始めたとしても、軌を一にすることはないだろう。その背景には、ITの投資判断基準が、大きく変わり始めたことがある

 こういう時代の節目を感じ取り、新たなビジネスの突破口を切り開く力を世の中や会社に求めたところで、ただ失望感を味わうだけである。

 自分自身を磨き、その能力を高めてゆくこと以外に道はないように思う。「自分力」こそが、これからのIT業界で生き残る唯一の武器となる。

 世の中が変わらないから、会社が動かないからを言い訳に、時代の流れを静観していても、むなしい時間を過ごすだけである。「いつでも、こんな会社辞めてやる!」といえる自信を持つこと。そんな自分力が、結果として組織を動かし、世の中を変える力となるという、「自分力」起点の発想を持つことが必要ではないか。

 経営者や管理者は、そんなチャンスを部下に与え続ける事であろう。それが、結果として、新たなビジネスの可能性を生み出すことになる。また、人は、自分の成長の場としての「会社」に魅力を感じる。優秀な中堅社員が辞めてゆく企業は、総じてその魅力に欠けている

 自分が成長したいと思う「社員」、その期待に応える「会社」という、相思相愛の関係を築くことが、この時代を乗り切り、新たなパラダイムへと駒を進める原動力となる

 そんな思いからはじめた「ITソリューション塾」も、来年1月から第3期がスタートする。既に申し込みも集まり始めているが、そのコメントを見ると、彼らの志の高さが、ひしひしと伝わってくる。「会社が受講料を出してくれないから自腹で参加したい」という人もいる。

 改めて、この取り組みを始めた意義を実感している。

 僭越なことを書いてしまった。ただ、自分自身への戒めでもあり、ご容赦願いたい。そして、また来年もお付き合い頂ければ幸いです。

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 この「ITソリューション塾」は、ITの最新動向やITビジネスにかかわる最新の知識を分り易く、体系的に整理し、提案活動の武器にしていただこうという企画です。

 例えば、「クラウド」というキーワード。知らない方はいらっしゃらないと思います。しかし・・・

 「クラウドと仮想化の違いを教えてください。」とお客様から聞かれて即答できなければ、信用失墜です?

あるいは・・・

  • iPhoneは、世界最初のモバイル・クラウド端末と言うことですが、それはなぜですか?
  • クラウドを使うとグリーンITを推進することになるとの事ですが、それはなぜですか?
  • Windows Azureの発表がありましたが、システム開発や運用は、どう変わるのですか?
 こんな、お客さまのご相談に答えることができれば、お客さまの信頼もますます高まるはずです。

 クラウドばかりではありません。国際会計基準、ネットワーク・セキュリティなど、ITのトレンドは、実に急速に動いています。

 「ITソリューション塾」は、こんなお客様からの相談を
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 そんな常識力を養っていただこうというものです。

 また、説明資料の分りやすさやビジュアルの美しさにも相当を気を使っています。

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そのパワーポイントの説明資料もソフト・コピーで差し上げます
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 営業さんばかりでなく、SEやコンサル、あるいは、マネージメントや経営者の皆様にもご参加いただければと準備しています。ぜひご参加をご検討いただければと願っています。

 詳しくは、こちらをご覧ください。

2009年12月27日日曜日

営業なんて必要なの?

 口に出しては言わないが、ソリューション・ベンダーやシステム・インテグレーターの経営者の多くは、そう考えているに違いない。

 いや、百歩譲って、「請求書の処理、クレーム対応、まあ、お客様に顔を出してご機嫌取り・・・とにかく、しっかり事務処理して、お客様との良好な関係を維持するためにやってくれればいい」ではないだろうか。

 いないのも困るが、所詮は、コストオーバーヘッド。あまり経費を使わないでほしい。

  「新規案件を取ってくるのは、営業の仕事」としている会社も少なくないが、たぶん本心は、期待されていない。じゃあ、何のためのそんなミッションを与えて いるのかといえば、「事務処理やトラブル対応だけでは、営業のモチベーションが下がるから、前向きなこともやらせておいたほうがいい。」という精神衛生上 の配慮からである。


 IT業界には、こんな言葉がある。「士農工商"営業"」。一番偉いのは、スタッフ、次がPM、次にSEやサポート、そして最後が、営業となる。

  「これからは、営業力を強化しなければならないと考えているんですよ。」。ソリューション・ベンダーやシステム・インテグレーターの経営者は、ほぼ口をそ ろえて、そういう言葉を口にするが、ここで言う営業力とは、「営業職の仕事」ではない。つまり、会社として、営業力をどう強化するかである。決して、営業 職への期待や施策ではない。

 景気がいいときは、営業などいなくても仕事は舞い込んで来る。しかし、不況ではそうはいかない。ITベン ダーに人がいても、技術があっても、お客様は買いたくない。だから、嫌がるお客さまの気持ちを何とかするための汚れ役を「営業」に期待する。不況の時の 「営業頼み」とは、この程度の期待にすぎない。

 確かに、営業という仕事は、営業職だけが担うものではない。しかし、営業職が、その中心的な役割を担うべきという発想が欠如している。というか、そんなことを営業職の人たちに期待していないのである。

 この業界の営業職とは、この程度の存在なのである。

 ある通信キャリアの研究所で研究者として仕事をしていた方が、子会社のシステム・ベンダーの営業として転籍となった。彼は、酒の席で「斎藤さん、営業なんかにされちゃいましたよ。はははは・・・」。悲しそうだった。その話しを聞いて、私は、もっと悲しかった。

 IBMを辞めて、彼らと同じ目線が持てるようになって、この実態に気づくことになった。

  IBMという会社は、実に営業の地位が高く、プライドも高い。オレが会社を背負っているんだというくらい意気軒昂である。しかし、その一方で重い責任も負 わされている。数字はもちろんのこと、お客様との関係を維持することは当然のこと。それが、評価や給与に直接連動している。社内にもそのコンセンサスがあ るから、SEもサポートも営業に従うのが当然と考えている。

 世間から見れば、大風呂敷で、尊大で、強引な営業である。しかし、その一方で、仕事に熱く、お客様にも篤かったのではないかと思っている。少なくとも、昔はそうだった・・・

 営業職を英語では、Sales Representativeという。Representativeとは、代表者であり、国会議員の意味もある。つまり、会社を代表する責任を持った職種であり、販売活動についての一切の責任を持つ社長の代理人という含意がある。

 日本の業界に、その理解はないようだ。

 「ちょっと、言い過ぎじゃないか。」と思っていただければ、これほど嬉しいことはない。そんな人たちが、これからのIT営業の役割を考え、どう育成すればいいかを考えればいいと思っている。

 New Normalの話しを書いた。ITビジネスが、大きな地殻変動を始めている。こんな時代だからこそ、営業もまた、役割を変えてゆかなければならない。

 「ソリューション・ビジネス能力モデル」研究会を立ち上げた。現在、22社、30名の方々にご賛同頂いている。先日、24日に今年最後の打ち合わせを行った。大手元請企業の役員もいれば、下請けの中小企業経営者も同席している。

 みんな、真剣であり、切実である。

 どこかの国の悪しき平等主義のようにならないように、志のある人たちが、真剣に考えてくれればいいと思っている。

 もし、ご興味があれば、お問い合わせください

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 このたび 「ITソリューション塾 【第3期】」 を開講することとなりました。ご案内は、ここからダウンロードできます

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 ぜひご参加をご検討いただければと願っています。

 この塾は、毎週火曜日の18:30-20:30。全10回にわたり開催します。初日は、1月19日(火)を予定しています。

 既に2期、開催しました。参加者の意欲も出席率も高く、ご満足いただいているようです。

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 次回の「ITソリューション塾」では、最新の動向を反映し、今までの内容の大幅に見直しました。主な改訂箇所は、以下の通りです。

1.クラウドを基礎編と戦略編の2回に分けます。
  • 基礎編では、概念や定義、テクノロジーやビジネスへの影響などを体系化して解説します。
  • 戦略編では、国内外の各社のクラウド・ビジネス戦略を分析し、自分達のビジネスにどう活かせるだろうかを考えてみようと思います。
2.ネットワーク・セキュリティについては、脅威やリスクの体系化と共に、対策にも着目し、どのようなビジネス展開があるかを考えて見ます。

3.国際会計基準については、この基準の意義や本質だけではなく、システム・ビジネスとして、どのようなチャンスがあるかをしっかり掘り下げてみようかと思います。

4.プロジェクト管理(PMBOKなど)についても整理し、その基本を学んでいただこうと考えています。

5.営業スキルについては、この2回の経験を踏まえ、改めて内容を取捨選択し、毎回独立したトピックとしてではなく、系統的に話しをさせていただけるように改訂する予定です。

 最新の動き、さらには、新たな整理とドキュメント。とにかく、いっそう分りやすく、即実践で使えることを目指し、内容を進化させる予定です。

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2009年12月23日水曜日

「クラウド」がもたらす本当の変化

  「クラウドの定義:産地偽装に騙されないために」でも書いたように、「クラウド」という言葉が、その本質とはかけ離れ、キャッチフレーズとして世の中を闊歩している。

 例えば、データセンター・サービス。仮想化や運用の自動化、プロビジョニングへの対応がなくても、ネットワークを介して使うから「クラウド」であるという。

 ASPも同じ。既存のパッケージ・ソフトウェアを顧客ごとに立ち上げたシステムに導入し、ネットワークを介してサービスを提供する。シングル・インスタンスやマルチ・テナントというようなSaaSに求められる要件を備えていない。それでも「クラウド」である。

 「ソリューション」が、「プロダクト」より、高級な感じ・・・というノリと同じように、その本質を考えないままに「クラウド」という言葉が、キャッチフレーズとして使われている。

 ソリーション・ベンダーは、そろそろ本質を正しく受け入れ、責任ある行動をとるべきではないか。ユーザーも、この現実に気づいている。

 それを知らないのか、あるいは知っていても、思考を停止して無視しているのか、それは分らないが、そろそろプロとしての責任を果たすべきだろう。そうし なければ、「クラウド」のもたらす本当のパラダイムの変化から自ら乗り遅れてしまう。いや、それだけではない、「クラウドは、日本の企業には任せられな い。」とユーザーにそっぽを向かれてしまうだろう。

 先日、米国セールスフォース社が、自らのクラウド・サービスであるforce.comを、国内大手のソリューション・ベンダーにOEMとして提供するとの発表があった。そこには、NECや富士通などのサーバー・メーカーも含まれている。

 時代の流れだとはいえ、自身の稼ぎ頭のひとつであるサーバー・ビジネスを縮小させることに取り組まざるを得ない彼らは、まさに今の日本のIT業界の現実 を体現している。つまり、お客様にとって魅力的なクラウド・ビジネスを自分達が提供できないからであり、仕方なく米国のクラウド・サービス・プロバイダー と組したと見られてもしかたがないだろう。

 ちょっと穿った見方とのご批判は覚悟の上。ただ、それくらい危機感を持つべきなのである。それだけ、クラウドは、ITビジネスの潮流を大きく変えようとしていることに、もっと真摯に向き合うべきだと、私は考えている。

 「クラウド」は、システム資源の「所有から使用」へのパラダイムシフトだといわれている。しかし、それは表面的なことに過ぎない。むしろその結果として、ITビジネスの常識が、大きく変わることに気づく必要があるだろう。そのいくつかを、思いつくままにいくつか書き出してみると・・・

1.システム資源のグロバールかつシームレスな最適配置
2.システム開発や運用のグローバルな再編
3.情報システム部門の役割縮小とユーザー部門の発言力拡大
4.CO2削減のための「クラウド・シフト」圧力
5.クライアント・デバイスの多様化に伴う、システム利用の爆発的拡大
・・・

 ところで、クラウド・ビジネスを理解するうえで、もうひとつの重要なパラダイムの変化についても触れておこう。それは、「ハードウェア重視への回帰」である。

 かつて情報システム・ビジネスは、ハードウェア・ビジネスであった。IBMの営業として働いていた頃、メインフレームやその端末は、重要な収入源であり、売上げの8割近くを占めていた。

 しかし、ダウンサイジングの流れの中で、ハードウェア・ビジネスは儲からなくなった。だからこれを縮小し、サービス・ビジネスへの転換を図っていった。多くのハードウェア・メーカーが、サービス事業者への転換を図っていった。

 IBMも例に漏れず、現在は、その売上げの8割が、サービスからの収入となった。これは、IBMに限ったことではない。多くのハードウェア・メーカーが、事業転換を図ったのである。しかし、その過程で生き残れずに消え去っていった企業も少なくない。

 さて、今はどうか。実は、形を変えたハードウェア・ビジネスが、今のクラウド・ビジネスではないかと私は考えている。

 クラウドの魅力は何かと言えば、多くのソリューション・ベンダーは、「コスト」の削減であるという。しかし、コストを削減するためには、膨大なサーバー資源を保有することが前提となる。

 UCバークレーの論文「Above the Clouds」によると、「1000台クラスの中規模データセンターと、5万台クラスのデータセンターを比較すると、大規模データセンターのほうが7倍も効率がよい」との調査結果がある。つまり、規模とコストが比例するということだ。

 グーグルは、300万台のサーバーを保有しているといわれている。では、国内企業で、この規模、すなわち、コストで立ち向かえる企業はあるのだろうか。

 ハードウェアが、再び儲うけを生み出すようになったのである。これはハードウェア資源のレンタル・ビジネスである。かつての商売の仕方とは違うが、ハードウェアを商品とするビジネスであることに変わりはない。つまり新しい形の「ハードウェア・ビジネス」が、米国の大手クラウド企業のビジネスといえるだろう。「ハードウェア重視への回帰」とは、そういう意味である。

 つまり、クラウド・ビジネスの売りをコスト削減とする限りにおいては、日本のIT企業は、ハードウェア・ビジネスへの転換を図る必要がある。しかし、それは容易なことではないことは、言うまでもない。

 となるとスピード、つまり「時間」をクラウドで売るということになるのか。それとも、国内であることの「安心」を売ることになるのか。

 キャッチフレーズやバズワードの類を頭ごなしに否定するつもりもない。少なくとも、世の中に新しい動きの到来を広く知らしめる効果はあった。

 しかし、その役目は十分に果たした。そろそろ「クラウド」の本質を真剣に考えるべきである。そして、「クラウド」の美しき幻想である「コスト削減」は、自分達ではできないことを正直に伝え、「時間」や「安心」などの「コスト」以外の自分達の価値を、お客しさまに真摯に売り込むべき時期が来たのではないかと思う。

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2.ネットワーク・セキュリティについては、脅威やリスクの体系化と共に、対策にも着目し、どのようなビジネス展開があるかを考えて見ます。

3.国際会計基準については、この基準の意義や本質だけではなく、システム・ビジネスとして、どのようなチャンスがあるかをしっかり掘り下げてみようかと思います。

4.プロジェクト管理(PMBOKなど)についても整理し、その基本を学んでいただこうと考えています。

5.営業スキルについては、この2回の経験を踏まえ、改めて内容を取捨選択し、毎回独立したトピックとしてではなく、系統的に話しをさせていただけるように改訂する予定です。

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2009年12月18日金曜日

今までの仕事をやめて、新しい仕事をやりなさい!

「営業力を強化しなければと考えています。」

 最近、ソリューション・ベンダーやシステム・インテグレーターの研修担当者や経営者から、こんな話をよく耳にする。

 不況のあおりを受けて、受注が思うように伸びない中、この状況を何とかするためには、営業力に頼るしかないという、「最後の手段」的な営業力頼みである。

 景気がいいときは、技術力や製品力が大切であると考える。営業力は、ないよりもあったほうがいい・・・いや、お客さまの「言うとおり」を忠実に、滞りなく、そして、ちょっと納期を早める努力をしたり、ちょっと値引きを深くしてみたり、あるいは、マメにお客様に顔を出すことで、お客様の必要に直ぐに答えられるように・・・と言った程度の「優秀なる御用聞き」ができることこそ、営業力。それで十分に業績を上げることができたのだから、それが営業力だと言うことに何も疑問もなかった。

 しかし、今彼らが求めている営業力とは、どうもそういうものではないらしい。

 新規案件の発掘、新規顧客の開拓、既存顧客からのシェア拡大である。つまり、お客さまの「言うとおり」に逆らう行為だ。

 お客様の「言うとおり」にしていれば、仕事は減らされる。モノを買いたくないお客様に「買ってください」と言わなければならない。これはもう、天地真逆の仕事をしろと言われているようなものであり、今度はそれを営業力だという。

 「今までの仕事をやめて、新しい仕事をやりなさい」。表向き、営業という立場は、何も変わらないが、やることはまったく違う。そんな事実には目をそむけ、「うちの営業力は、まだまだ御用聞き営業から脱しきれず、これではこれからやっては行けない。だから、もっと営業力を強くしなければ・・・」などという発想は、どこか間違っているように思う。

 「営業力を強くする」という言葉の根底には、「弱いものを強くする」、「未熟を育成し成長させる」という考えがあるように思う。この発想は、今までの延長線上での話し。

 しかし、そうじゃないでしょ・・・と言いたくなる。

 まあ、過去を全面否定するつもりもないが、そんな延長線上の話しではなく、営業というパラダイムが明らかに変わってしまったことを、はっきりと意識すべきではないでしょうか。

 昨日、New Normalについて書きました。お客さまの意思決定基準が、明らかに変わっている。今までの「御用聞き営業」の発想や仕事の手順では、もはや営業として役割を果たせない。この現実に目を向けるべきではないのかと思うのです。

 「営業力を強化する」とは、今までの営業という名の下に行ってきた仕事を定義しなおし、これからの営業という仕事について、新たなあるべき姿や手順を明確にすることからはじめなければならないと思うのです。

 「新しい営業という仕事ができるようにするための職業訓練」。それが、今求められている「営業力の強化」です。

 クラウドの普及は、モノが売れなくなると言うことだけではありません。システム開発やシステム構築・運用の考え方をグローバルな視点で再編成することになると考えるべきです。換言すれば、お客様が期待する皆さんの役割が変わってしまうことを意味しているのです。

 そうなれば、当然仕事も変わり、求められる「営業力」も変わってきて当然。この現実を早く受け入れ、新しい時代に求められる「営業力」を構築すること。それが、今必要な「営業力の強化」なのだと思うのです。

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1.クラウドを基礎編と戦略編の2回に分けます。
  • 基礎編では、概念や定義、テクノロジーやビジネスへの影響などを体系化して解説します。
  • 戦略編では、国内外の各社のクラウド・ビジネス戦略を分析し、自分達のビジネスにどう活かせるだろうかを考えてみようと思います。
2.ネットワーク・セキュリティについては、脅威やリスクの体系化と共に、対策にも着目し、どのようなビジネス展開があるかを考えて見ます。

3.国際会計基準については、この基準の意義や本質だけではなく、システム・ビジネスとして、どのようなチャンスがあるかをしっかり掘り下げてみようかと思います。

4.プロジェクト管理(PMBOKなど)についても整理し、その基本を学んでいただこうと考えています。

5.営業スキルについては、この2回の経験を踏まえ、改めて内容を取捨選択し、毎回独立したトピックとしてではなく、系統的に話しをさせていただけるように改訂する予定です。

 最新の動き、さらには、新たな整理とドキュメント。とにかく、いっそう分りやすく、即実践で使えることを目指し、内容を進化させる予定です。

 どうぞ、ご参加いただければとぞんじます。また、御社の営業、SE、コンサル、マネージメントの皆様にご紹介頂ければと存じます。

 詳しくは、こちらをご覧ください。

2009年12月16日水曜日

「クラウドで物が売れなくなる」 その証拠

 リーマンショック以降、"New Normal(新しい標準)"という言葉が、米国のメディアに度々登場しているそうです。この言葉の意味は、たとえ景気が回復しても、以前のNomalには、もどりませんよ・・・ということで、お客さまが物事を考える上での常識が、変わってしまったということを言っているのだそうです。

 景気の低迷で、IT投資を抑制してきた日本の企業にも、この"New Nomal"が、常識となりつつあるようです。

 景気が回復し、システムの需要が拡大しても、システムの導入や開発が、今まで同様とはいきません。節約志向が定着した情報システム部門は、もはやかつてのNomalにもどる意思はないようです。

 事実、クラウドが、こんなにも早くITビジネスの第一線に出てくるとは、正直予想していませんでした。この不況に後押しされて、時計の針が、大きく動いたようです。

 情報システム部門の意思決定のメカニズムには、確実に「クラウド」のフィルターが、埋め込まれたようです。

 クラウドでモノが売れなくなると言う話し。こんなことを言うと、またかと言われるかもしれませんが、これには、確かな証拠があるのです。

 世界のサーバー出荷台数は、年間800万台。その内、Google、Yahoo、Amazon、Salesforceなどのクラウド各社は、その20%程度、およそ150万台から200万台程度を購入していると言われています。

 これらサーバーは、当然のことではありますが、通常の代理店経由ではありません。また、この出荷台数の相当数が、その他のクラウド・サービス・プロバイダーに出荷されているものと考えられます。

 また、Googleは、創業以来、サーバーを内製しています。その保有台数は、実に300万台。日本の年間出荷台数が、およそ50万台なので、国内需要の6年分を所有している計算になります。その他のクラウド各社も相当数所有していると考えると、たぶんその台数は、年間出荷台数を上回るのではないでしょうか。

 つまりこれだけの膨大な台数が、販売会社を経由せず販売されていること。また、膨大な数のサーバーが、クラウド・サービスに利用されていると考えると、その分、ユーザー企業は、自社のサーバーを使わずクラウドのサーバー・リソースを利用していると考えることができます。

 つまり、ユーザー企業のシステム需要が拡大しても、サーバーを購入するという過去のNormalは通用せず、New Normalが台頭し始めているのです。モノが売れなくなるのも道理です。

 ノークリサーチさんのレポートによると、クラウドの国内市場は、2009年の249億円から、2012年には、2065億円になると予測しています。実に8倍に拡大することになります。

 しかし、この間、お客さまの情報システム予算は、同様に8倍に拡大するでしょうか?そんなことにはならないはずで、今までのシステム購入費用が、クラウドに使われることになるでしょう。

 クラウドでモノが売れなくなるといっても、またまだ・・・なんて、甘い考えは捨てるべきでしょうね。

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 このたび 「ITソリューション塾 【第3期】」 を開講することとなりました。ご案内は、ここからダウンロードできます

 この「ITソリューション塾」は、ITの最新動向やITビジネスにかかわる最新の知識を分り易く、体系的に整理し、提案活動の武器にしていただこうという企画です。

 例えば、「クラウド」というキーワード。知らない方はいらっしゃらないと思います。しかし・・・

 「クラウドと仮想化の違いを教えてください。」とお客様から聞かれて即答できなければ、信用失墜です?

あるいは・・・
  • iPhoneは、世界最初のモバイル・クラウド端末と言うことですが、それはなぜですか?
  • クラウドを使うとグリーンITを推進することになるとの事ですが、それはなぜですか?
  • Windows Azureの発表がありましたが、システム開発や運用は、どう変わるのですか?
 こんな、お客さまのご相談に答えることができれば、お客さまの信頼もますます高まるはずです。

 クラウドばかりではありません。国際会計基準、ネットワーク・セキュリティなど、ITのトレンドは、実に急速に動いています。

 「ITソリューション塾」は、こんなお客様からの相談を
  • 「理解」できる。
  • 「説明」できる。
  • 「整理」できる。
 そんな常識力を養っていただこうというものです。

 また、説明資料の分りやすさやビジュアルの美しさにも相当を気を使っています。

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そのパワーポイントの説明資料もソフト・コピーで差し上げます
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 営業さんばかりでなく、SEやコンサル、あるいは、マネージメントや経営者の皆様にもご参加いただければと準備しています。

 ぜひご参加をご検討いただければと願っています。

 この塾は、毎週火曜日の18:30-20:30。全10回に渡り開催します。初日は、1月19日(火)を予定しています。

 既に2期、開催しております。参加者の意欲も出席率も高く、ご満足いただいているようです。

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 次回の「ITソリューション塾」では、最新の動向を反映し、今までの内容の大幅に見直しました。主な改訂箇所は、以下の通りです。

1.クラウドを基礎編と戦略編の2回に分けます。
  • 基礎編では、概念や定義、テクノロジーやビジネスへの影響などを体系化して解説します。
  • 戦略編では、国内外の各社のクラウド・ビジネス戦略を分析し、自分達のビジネスにどう活かせるだろうかを考えてみようと思います。
2.ネットワーク・セキュリティについては、脅威やリスクの体系化と共に、対策にも着目し、どのようなビジネス展開があるかを考えて見ます。

3.国際会計基準については、この基準の意義や本質だけではなく、システム・ビジネスとして、どのようなチャンスがあるかをしっかり掘り下げてみようかと思います。

4.プロジェクト管理(PMBOKなど)についても整理し、その基本を学んでいただこうと考えています。

5.営業スキルについては、この2回の経験を踏まえ、改めて内容を取捨選択し、毎回独立したトピックとしてではなく、系統的に話しをさせていただけるように改訂する予定です。

 最新の動き、さらには、新たな整理とドキュメント。とにかく、いっそう分りやすく、即実践で使えることを目指し、内容を進化させる予定です。

 どうぞ、ご参加いただければとぞんじます。また、御社の営業、SE、コンサル、マネージメントの皆様にご紹介頂ければと存じます。

 詳しくは、こちらをご覧ください。

2009年12月9日水曜日

クラウドの目指す「あるべき姿」:シームレス・コンピューティング

 先月、マイクロソフトは、クラウド・コンピューティング(PaaS)のプラットフォームとして、Windows Azure Platformを発表した。このWindows Azure Platformの肝(きも)は、オンプレミスとクラウドをひとつのプラットフォームとて一体化することである。これについては、「Windows Azureに垣間見るマイクロソフトのしたたかな戦略」に書かせていただいたので、よろしければご覧いただきたい。

 さて、このタイミングでもうひとつ、これからのマイクロソフトのクラウド戦略を読み解く上で、ひとつの重要な発表がなされている。それが、Silverlite 4である

 Silverliteが何かをご存じない方もいらっしゃるだろうから、簡単に解説しておこう。

 これは、アドビの提供するFlushやAirに相当するもので、アニメーション、ベクターグラフィックスの表示や音声・動画再生などの機能を備える、いわゆるリッチインターネットアプリケーション (RIA) のプラットフォームである。

 ちなみにアドビのFlushも、Silverliteも、ブラウザーのプラグインとして、ブラウザーに閉じ込められた形で動作する。

 これに対して、Airは、Flushの技術をベースにブラウザー機能を内蔵している。つまり、ユーザーからは、ブラウザーを立ち上げたり、意識する必要がない。当然、ユーザーは、そのアプリケーションが、ネットのリソースを使っているのか、ローカルPCのリソースを使っているのかも意識することはない。

 今回発表されたSilverlite 4は、このAirに相当する機能も取り込むことを表明した。

 つまり、AirもSilverliteも、ともにユーザーから見れば、そのアプリケーションの動作をローカルなのか、クラウドなのかを意識させないクライアント環境の実現を狙っていることになる。

 また、両者ともに、マルチプラットフォームで動作することを宣言している。つまり、Mac、Linux、Windows、iPhoneのOS上にリッチインターネットアプリケーション・プラットフォームのレイヤーがかぶさり、OSを隠蔽してしまう。

 となると、AirやSilverliteで開発したアプリケーションは、OSの種類を意識することなく、共通のプログラム・コードを利用できるようになることも意味している。

 このように、Silverliteは、Windows Azure Platformで、サーバー環境について、オンプレミスとクラウドをひとつのプラットフォームとして一体化したように、クライアント環境を一体化することを狙ったものと考えることができるだろう。

 しかも、開発環境としては、ほぼデファクト化しているVisual Studio /.Net Frameworkがそのまま使える。となると、その潜在的な開発パワーは、相当強大といえるだろう。

 Window7の評価が高い。また、chrome OSにも注目が浴びている。確かに、OSなくして、コンピューター・システムは、動かないわけで、なくなることはないだろう。しかし、クラウドが普及すれば、ハードウェア機能を効率よく、安全安心に動作させることのみを担うようになるのかもしれない。これは、chrome OSの狙いと一致している。

 FireFoxの開発母体となっているMOZILAも同様のクライアントprismの開発を進めている。

 このような各社の動きを見ていると、これからのクラウド・アプリケーションの姿が見えてくる。

 つまり、クラウドというコンピューティング環境は、「どこか雲の上」のサーバーと、ローカルなサーバーやクライアントPCを別のものとして捉え、それを連携・組み合わせて利用するという考え方ではないということだ。

 雲の上と下を大きな単一のプラットフォームと捉え、アプリケーションを構築するという考えたに行き着くのではないか。

 クラウドとオンプレミスをシームレスなコンピューティング環境にする。これが、クラウド・コンピューティングが、目指している「あるべき姿」なのかもしれない。

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 クラウドという言葉を知らない人はいないでしょう。しかし・・・
  • クラウドとSOA関係は?
  • 仮想化とクラウドとは、何がどう違うのでしょうか?
  • iPhoneは、なぜ最初のクラウド端末といわれているのでしうか?
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 このITソリューション塾は、
  • 毎週火曜日の夜18:30から20:30、計10回に分けて、ITソリューションに関わる重要なキーワードをテーマに解説します。
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  • メインテーマは、1時間程度、美しく、整理されたビジュアルを駆使したパワーポイントの資料と共に、解説します。また、その時々の最新の話題についても取り上げ、その意味や背景を30分程度で解説します。
  • 説明に使用したパワーポイントの資料は、そのままソフトコピーで差しげます。社内やお客さまへの説明資料や提案書に自由にお使いいただけます。
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