2008年9月29日月曜日

速報!歴史の街を走る 

 昨日、無事レースを走り終えました。結果は、3:30分。目標は、3:20を目指していましたが、残念ながら不本意な結果となってしまいました。
 35キロ付近までは、ほぼ予定通りのペース。これはいけるかと思いました。しかし、30Kmを過ぎた当たりから足に痛みが・・・。35-40Kmにて右ふくらはぎの肉離れ!激痛でした。痛みをこらえながらのランニングは、つらい!スピードがだせません。それでも何とか完走できました。初めての経験でした。
 レースはいろいろとあります。いい経験でした。次に向けての課題も見えました。これを教訓にしたいと思います。

 さて、走ったレースは、ベルリン・マラソン。優勝は、エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエ2時間3分59秒の世界新記録を達成です。気温も低く、乾いた空気。よく整備された道路と起伏のないコース。なるほど、高速コースといわれる理由が分かります。
 
 多くの歴史的な建造物や落ち着いた街並みの中を走り、異国情緒を満喫できました。詳細は、また改めて、アップしたいと思っています。

 今日は、ベルリン最後の日。クヌートと面会してこようかと思っています。

2008年9月24日水曜日

プロデュース 営業とマラソン

  今週末、今シーズン最初のフルマラソンを走る。練習はした。後は、レースを作戦通りこなすだけだ。興奮してはいけない、調子に乗りすぎてはいけない。その時の気温や湿度、体調などを身体に聞いて、冷静にレース展開を見通さなくてはならない。

 体力は、今更どうにもならない。後は、気力と脳力が勝負を決める。高望みをするつもりはない。練習の成果をそのままレースに発揮すればいい。それだけのことなのだが、簡単なことではないことも分かっているつもりだ。

 この夏は、自分でもよく走ったと思う。真夏の炎天下、皇居、奥武蔵の山中、足柄峠、半蔵門から国立までの帰宅道・・・300キロは走り込んだ。おかげで心肺とスタミナだけは、それなりに鍛えられたようだ。しかし、日本の夏は、蒸し暑い。そのためスピードを追い込むことは十分にはできなかった。長距離は走れても、スピードを出すことができない。自ずとスピードに耐えられる筋肉が鍛えられない。そこが、今回のレースの課題だ。

 「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」で、プロデューサー営業という話をしている。プローデュースとは、仕事全体の流れを把握し、最適なリソース配分を管理することだ。

 この研修では、営業案件をこなして行くためには、今後どのような手順を踏んでクローズに持ち込むか。その展開をあらかじめ予測し、事前に対処する「前始末」型の営業スタイルの大切さとその実践方法をお伝えしている。

 マラソンのレース展開でも同じ話。ゴールするまでの行程はどのようになっているのか。その間にどのような身体の変化が現れるのか。あらかじめそれを予測して対処する。10Km地点ではBCAAとクエン酸のサブリメント、20Kmではカロリー補給のためのゼリー・・・など、身体の変調や負担を少しでも和らげるための万全の策をとる。

 時間配分についても慎重に管理しなければならない。原則は、イーブンペース。1キロを何分で走るかを考える。自己ベストを出した今年3月のレースでは、4分48秒のペースだったが、今回は4分40秒あたりを目標に設定している。と言っても、その時のコンディションしだい。現時点での練習の成果を考えれば、4分55秒くらいがちょうどいいかもしれない。

 たかが8秒と思われるかもしれないが、42.195Kmに換算すると約5分に相当する。前回3時間24分だから、計算通り行けば、3時間20分を切ることができるはず。そんなにうまく行けばいいのだが・・・

 先を予測できれば、確実にレースをコントロールできる。しかし、思わぬ事態が待ち構えているかもしれない。それでも、体力や筋力に余裕があれば、事態を収集できる。

 営業の仕事も同じ。日々の訓練を怠るなかれである。常に意識し、知恵や知識を身につけ、趣味のように製品やお客様について興味を持つ。そして、考える。

 気がつけば、あなたは自分の仕事や製品の専門家となり、お客様以上にお客様の会社や業界について知っている自分に気付くことだろう。あわせて研修でもご紹介している営業活動プロセスを理解する。全体を把握するための準備は万全だ。

 後は、着実にそのプロセスをこなす。冷静に、丁寧に。そんな仕事ができれば、理想なのだが・・・そうありたいと思う。

2008年9月23日火曜日

「謙虚」というスキル 改めて思い出したこと

 大学生の頃だから、もう30年近くも前の話。たまたま知り合った伊藤忠の部長は、当時40歳。とっても大人に見えたことを覚えている。

 彼は、安宅産業の伊藤忠への併合に関わるプロジェクトで敏腕をふるったそうだ。1977年、10大商社のひとつであった安宅産業の経営破綻に伴い、伊藤忠が吸収合併。当時は、石油ショックによる景気後退の只中にあり、恐慌を防ぐために政府・日銀までもが事態収拾に乗り出した一大事件だった。

 ある時、彼は、連日の徹夜仕事が続き、書類を事務の女性にコーピーしてもらっている僅かな間に床に寝ていたそうだ。すると、戻ってきた女性が「死んでる!」と大騒ぎをして、大変なことになったそうである。「モーレツ社員」の典型のような人物だった。

 彼は、決して弁の達つ人ではなかった。しかし、淡々と話してくれたひとつひとつのエピソードは、とても迫力があるもので、まさに事件の渦中にいたことをものがったていた。今思えば、ビジネスの生々しさに接した最初だったかもしれない。

 彼は、自分の果たした役割やその難しさ、そして、どれほど働いたかを語ってくれたが、その語り口は、「やることはやった」という自信に満ちていた。その一方で、世間を知らない私の質問にも静かに耳を傾け、丁寧に応えてくれた。自慢話ではなかった。むしろ世の中を教えようとする教師のような語り口であったことを覚えている。時に感情を高ぶらせることもあったが、取り乱したり興奮したものではなく、その場の様子を理解させようとする彼の演出だったようだ。

 私は彼の話を聞きながら「謙虚な人だなぁ」と思ったことを覚えている。こんな人の下で働きたいものだとも思った。

 前回「謙虚」について書いたが、自信と謙虚は、同じ精神の有り様の異なった表現ではないか。簡単なことではないが、私もそんな人との接し方を心掛けたいと思う。

2008年9月20日土曜日

「謙虚」というスキル

 私は、司馬遼太郎の作品が、大好きで、大嫌いだ。

 圧倒的なリアリティ、まるでその時代を生き、その場に居合わせたような生々しい臨場感。歴史学者の論文ではとうてい描けない小説としてのおもしろさが、そこにはある。また、なぜそんなことまで知っているんだと言いたくなるような緻密な時代考証は、知的好奇心を刺激する。ほんとうに面白い。

 しかし、そこが困る。ついつい引き込まれ、時間を忘れてしまう。電車を乗り過ごす、早く仕事をはじめなければならないのに、なかなか本を閉じることができない。それを覚悟で本を開く勇気が必要だ。だから怖くて最初の1ページを開くことができない。そんなところが、彼の作品の大嫌いなところである。

 そんな禁断の彼の作品に再び手を出してました。1989年に出版された「ロシアについて -北方の原型-」。そこに描かれたロシアという国の民族的思考方法や地政学上の行動原理は、今のグルジア問題、ロシアの外交や今の経済発展にぴったりと重なっている。改めて、彼の考察の深さに感動した。おかげで、またもやひと駅乗り過ごしてしまった。

 この本に、心を引かれる一文を見つけた。

 「謙虚というのはいい。うちに自己を知り、自分の中のなにがしかのよさに拠りどころをもちつつ、他者のよさや立場を大きく認めるという精神の一表現である。」(本文:254ページ)

 「謙虚」は、営業である私たちにとって、とても大切な心構えだと思う。

 自分の考えや行動について自信と確信をしっかりと持たなくてはならない。その上で、他人の考えや立場にも敬意を払い、一生懸命、相手を理解する。媚びへつらうことではなく、仰せの通りと従うことでもない。自分の意見や考えを持ち、相手の考えをそれにぶつけてみる。さて、一体何が違うのか、どこが同じなのか、冷静に考える。お互いの違いを自覚し、それを尊重する。そんな相手との関係を作ろうとすること。「謙虚」とは、こういうことなのだろう。

 営業の仕事は、商品を売ることである。そのためには、自分が提供するものを十分に理解し、自信を持たなくては、迫力のある提案もお客様への説明もできない。同時に相手の立場や求めているもの理解する努力を怠ってはならない。
 お客様の真のニーズを知ろうとする努力、言い換えるなら、お客様を成功させたいという愛情に裏打ちされた、お客様の話への傾聴や質問なくして、それを知ることはできない。そんな気持ちで相手に接するならば、彼らを知る努力が苦労ではなく喜びとなる。

 「謙虚」を営業という仕事に重ね合わせるなら、そういうことになるのだと思う。

2008年9月18日木曜日

モンスターカスタマーを撃退せよ!

 先日、日経ソリューションビジネスの取材を受けました。タイトルは、「モンスターカスタマーを撃退せよ!」。9月30日号の特集に掲載されるそうです。もちろん、ちょっとだけコメントが載るだけでしょうから、ご興味ある方は読み飛ばさないようにご注意下さい(笑)。

 さて、今回の取材の内容ですが、理不尽な要求を平気でする困ったお客様「モンスターカスタマー」にどう対処するかということです。

 しかし、そうは言われても、お客様の要求は千差万別で、それに応じた対処の仕方は様々です。完全無欠の原理原則など話せるものではありませんし、個別の問答集を用意するわけにもゆきません。インタビューにどうお応えすればいいものやら、正直なところ困ってしまいました。

 ただ、経験上はっきりと言えることがあります。それは、「モンスターカスタマー(お客様をこのように表現するのには、若干抵抗はありますが・・・)を作る責任の一端は営業にある」ということです。

 確かに中にはとんでもない(?)お客様がいらっしゃることは確かですが、大半は営業の対応の仕方に問題がある場合が多いのではないかと思います。
  • 「あれだけ説明したのに、XX部長は、なにも分かっていないよ。」
  • 「今頃になって、こんなことをいうなんて、非常識だよ。」
  • 「だいたいあの会社は、いつも無理なことを言ってくるんた!」
などと、自分正当性を振りかざし、お客様を非難する営業も少なくありません。しかし、その多くは、
  • お客様の行動パターンを予測し、事前の対処を怠っている。
  • 説明や説得、確認が不十分で、合意がきちんと取れていない。
  • キーパーソンを押さえないで、担当者レベルの合意で進めている。
などなど、本来当たり前にやるべき営業としての仕事をこなしていないが故に、お客様を「モンスター化」させてしまうといった場合も有るのではないでしょうか。

 人は誰しも、自分の都合のいいように解釈したいものです。この本能的な思考過程を押しとどめることはできません。だからこそ、勝手な理解で、それぞれが自分なりの納得をするのではなく、利も不利も表に出して合意すること。そして、契約や注文となれば、その内容を文書で交わすことなど、手間ではありますが、お客様をモンスター化しないためには大切な営業プロセスです。

 それと、「手段の合意」ではなく「目的の合意」を意識することが大切です。

 このシステムを導入したなら、あるいは、このサービスを利用したなら、お客様は結果としてどのようになっているか、つまり To Be のイメージをしっかりと描き、そのことを合意することが必要です。

 手段、つまり To Do の合意だけでは、何か状況が変わったとき、それに対応する選択肢は狭くなってしまいます。融通が利かないのです。そして、結果はともあれ、「このやり方でやってもらはなくては困る」、「どうせなら、ついでに・・・」となり、目的がなんだか分からなくなってしまう。つまり、お客様をモンスター化する種を営業が放置しているならば、これはもうどうしようもありません。

 日経ソリューションビジネスの記事がとうなるのか、よく分かりませんが、私は事後の対応「後始末」よりも、事前の対応「前始末」こそ、モンスター・カスタマーに対応する最善の策だと思います。

2008年9月17日水曜日

紐で吊されたCD 日本の美意識を見た

 今朝、総武線を四ッ谷駅で降りてエスカレーターを上ってゆくと、渡り廊下の梁から紐(ひも)で吊されたCDが目に飛び込んできた。しかも、その紐は引越で使うようなナイロン製で、ほこりにまみれて薄汚れている。鳩避けだろうとは思うが、なんとわびしく、汚らしい光景だろうか。

 皇居・半蔵門から続く広々とした新宿通り、上智大学や聖イグナチオ教会も目の前にあり、外国人の乗降者も多い。駅員の判断なのか、JRの方針なのか、私には分からないが、こんな汚い物をぶら下げたままで恥ずかし気もなく平気でいられる無神経さに、怒りを越えてあきれてしまう。

 いつの頃からかは分からないが、ペットボトルに水を入れて玄関や塀の前に並べている光景を目にするようになった。これも耐え難い。目的はともかく、なぜ自分の家をわざわざ貧相に飾らなければならないのだろうか。

 無節操な道沿いの看板、過剰な道路標識、マンションからはためく洗濯物・・・この国には、まっとうな美意識がないのだろうか。自分の理にかなうなら、他人の不愉快はどうでもいい。そんな、悪しき常識が今の日本にはあるようだ。

 10年ほど前のこと。仕事で中国・深センの機械工場を訪問したことがある。「ライン内で食事をするな」「つばを吐くな」「ゴミはゴミ箱に捨てろ」・・・当たり前のような標語が、工場内の壁のあちこちにペンキで殴り書きされていた。同行してくれた日本人によると「当たり前のことを守らないから、どんどん標語が増えてゆくんですよ。」とあきらめ顔で話していた。

 今の日本でこのような光景を見ることはないが、日本人の美意識が廃れつつある現実を目の当たりにすると、似たような標語が巷にあふれるのではないかと空恐ろしくなる。 
 以前ブログで紹介したが、海水浴場にゴミやビニールシートを見事にそのまま残していった若者達。決してあり得ない心配ではないだろう。

 当たり前のことと思っていること、マナーの範疇と考えていたことが通用しなくなると、それは罰則のついた規則や法律になる。そんなことになる前に何とかできないものだろうか。

「美しい国 日本」。なんとも抽象的なメッセージを掲げたものだ。意地悪に解釈すれば、日本は、美しくない国だからなんとかしなければならないと考えてのことだったのか・・・あっという間に消えてしまったので、何の効果もなかったことは確かだろう。

 CDをぶら下げた鳥避け、これに効果がないことは常識となっている。たぶん、水を入れたペットボトルも同じようなことだろう。それでもゴミをぶら下げ、ゴミで玄関を飾っている。看板や過剰な道路標識もなくなる見込みはない。

 多少なりとも心のある人にとって見れば、無言の暴力だ。嘆かわしいことだと思いませんか?

2008年9月16日火曜日

世の中の当たり前を変えてみたい

 昨日は、定番の練習コース「足柄峠」をパートナー女史とふたりで走ってきました。JR御殿場線の山北駅前にある温泉施設「さくらの湯」をスタートし、ひたすら続く登り13Kmを駆け上がります。足柄峠の手前、万葉公園で折り返し、再び13Kmを下ります。

 曇天。少し湿度は高かったものの気温は低く、標高700m程の峠を駆け抜ける風はひんやりと気持ちよく、走りやすい季節になりました。
 今月末のフルマラソンの大会に備えた練習の一環です。ただ行き当たりばったりではなく、こんな積み重ねが有ればこそ、レースも楽しめるというものです。

 さて、昨今忙しくしていることがあります。ある新規ビジネスの立ち上げです。あまり詳しいことを申し上げるわけには行きませんが、ネットビジネスの世界で、だれもが「それはしかたがないでしょ」と手出しをしてこなかったことに、あえて立ち向かおうと考えています。ちょっとわくわくしています。

 何度も検討を重ね、ああでもない、こうでもないの繰り返しに、ちょっと偏執狂的なこだわり・・・おかげで、これはいけるという確信になりました。

 マラソンもそうですが、何となく練習しているだけでは、数字はついては来ません。何時間何分を切る!という目標、言い換えるなら目標が達成したときの具体的なイメージ(To Be)が有ってこそ、練習も知的に洗練され、走力もそれに向かってついてゆくものです。

 今回のビジネス目標が定まりました。後は、それを実現するためにシナリオをこなしてゆくだけです。もちろん結果が保証されるものではありません。しかし、「なるほど、こんなものがあったらいいなぁと思っていたんだ!」と言っていただける確信は持てました。後は、このTo Be イメージを見失わず、立ちはだかる現実に対処してゆく。それしかありません。

 詳しくは、いずれ紹介させて頂こうと思いますが、ちょっとおもしろいことになりそうです。
 

2008年9月14日日曜日

回答:ケース・スタディ 2 /契約直前 どうすれば・・・

 さて、それでは回答を考えてみましょう。

■ 問題1:あなたならこの状況にどのように対応しますか?

 まず、確認すべきは、竹田執行役の本心です。彼は、財務の担当であり予算の執行に責任があります。立場上、少しでも出費を抑えようとすることは、彼の責務です。そう考えると、費用の削減と予算執行時期の延期は、会社としてどうしてもそうしなければならない差し迫った状況があるのではなく、彼の通常の反応のパターンであるかもしれません。
 既に何度かの取引があれば、それは予測できるでしょうし、大崎本部長に確認できることでしょう(ただし、大崎本部長も竹田執行役と同じ立場を取るならば、その判断も容易ではないかもしれません)。

 どちらにしても、竹田執行役の本心を見極めることです。もし、会社として出費を抑えなくてはならない絶対的理由があるならば、この要求に対処することはかなり難しいと考えるべきでしょう。
 しかし、そうでないとすれば、これは、対応のしようがあります。その場合のポイントは、「竹田執行役の顔を立てること」です。単なるお願いだけでは、彼の顔が立ちません。竹田執行役の意向に沿って対応に“努力”したこと、しかも、それが“大崎本部長に厳しく求められた”結果であることを伝えることが大切です。

 なぜここで「大崎本部長」のことを出さなければならないか。これは、大崎本部長の立場への気遣いです。彼は竹田執行役の指示に従わざるを得ない立場にあります。彼は、竹田執行役の指示を忠実に実行したとなれば、彼は評価されるでしょう。そのような気遣いがあればこそ、大崎本部長は、あなたを支援してくれるのです。

 さて、対応の方法ですが、以下の方法が考えられます。

1.導入によってもたらされる価値を再度確認する
 誰が竹田執行役に説明するにしろ、今回の取り組みが会社にとって大きな価値があることを自信を持って説明できるようにしっかりと論理武装することです。

2.一部仕様を削り、機器構成を見直して、何とかコストを下げること
 要求され、直ぐ応えて値引きで対応する。相手から見れば、値引きの糊代を含んだ見積もりと見なされ、以降も値引き要求は、当たり前の儀式となってしまいます。安易な値引きは、ビジネスの健全性を損ねることになります。妥当な見積もりを出すことが大切です。

 妥当な見積もりであれば、費用を削ることは容易ではありませんが、改めて以下のことを考えるべきです。

 ◎ 不要不急:優先的に必要なものに絞り込む。
 ◎ 要求仕様の見直し:購入基準を下げる。

 上記視点で見直すことで、ある程度の費用の削減あるいは、支払時期の延期は可能となるでしょう。しかし、一方ではお客様自身にも影響が及ぶことを明確にし、こちらから「こうします」ではなく、対応することでお客様のメリットも変化することを具体的に示し、どうすべきかの判断をお客様自身にしてもらうことが大切です。

3.契約を機器(物品とその据え付け)+役務(運用環境構築)に分けて、一括で受領すること
 機器と役務は、一般的にタイミングが異なります。これがひとつの契約となっていると、役務が終わるまで請求ができないという場合があります。これを分けておくことです。その上で、一括受注し、お客様に予算を確定して頂き、それ以上変更しにくい状況を創り出すことです。

4.機器やネットワークなどのインフラのみまずは売上計上すること。
 2の段階で納得頂けないとすれば、売上計上を分けることも考えなくてはなりません。その場合でも、3を押さえておけば、とりあえず機器の導入で売上を計上することは可能です。役務については工事進行基準なので、売上計上は時期ずれ込むことはある程度しかたがないかもしれません。しかし、結果として、お客様がメリットを享受できる時期も遅れることをご理解いだき、その合意の元で進めるべきでしょう。

 融通を利かせるとこととごまかして対処することとは、まったく別物です。正しい、主張をしっかりと示すこと。それも、お客様の視点で伝えることが大切です。費用を抑えること、時期をずらすことによって、お客様の享受できるメリットも変わってくること。それをご理解頂いた上で、お客様に判断をゆだねる。そんな姿勢が大切ではないかと思います。

■ 問題2:もし過去に戻って対応できることがあったとすれば、どういうことができたでしょうか?

 会社の状況や竹田執行役の行動パターンを事前に把握しておくことです。今回のような反応が彼にとっては、通常のものならば、あらかじめそれを織り込んだ提案を考えておくことができたかもしれません。
 しかし、それよりも大切なことは、竹田執行役が予算の執行に関与してくることは当然予測できたわけですから、提案活動の段階で事前に説明に伺い、彼の了解を取り付けておくべきでしょう。
 容易なことではないかもしれませんが、パワーストラクチャーを把握し、事前に押さえるべきところに根回しをしておけば、契約直前で大騒ぎをすることもなかったかもしれません。

 如何でしょう。みなさんならどう対処されますか?

2008年9月10日水曜日

伝えたというあなたの満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切である

 どうしても伝えなければ気が済まない。心の内にあることを全て言葉にして、すっきりする。伝えるべきことは伝えることができた。その満足の余韻に浸る。

 ため息をついて、相手の顔を見ると、「話が終わってくれて良かった・・・」と書いてある。一瞬、戦慄!「しまった!またやっちゃったよ。」

 いつもそんな失敗を繰り返しています。お客様に伝えるというスキルは、営業には必須のものです。しかし、自分が伝えたいことを伝えるだけで、お客様が聞きたいことを伝えていない。そんな会話をしている自分を一歩引いて眺めてみる。それが、このスキルを高めるための唯一の手段といえるでしょう。

 提案書や商品の説明も「そんなこと聞きたくないよ」というお客様の顔をよそ目に蕩々と話つづけたところで、お客様には何も伝わっていません。お客様にとっては、ただただ無意味な時間が費やされただけであり、何の価値も生み出さないばかりか、「彼は、自分にとっては価値のないひとだから、今後は会わないようにしよう。」という決心を固めさせてしまいます。

 「ものわかりの悪いお客様だよ!」というあなたの憤慨は、「役に立たない営業だよ!」というお客様の言葉の裏返し。お客様に責任を押しつける前に、自分の伝え方をまずは反省する。そんな謙虚さが必要です。

 お客様が聞きたいことは、結果であり、過程ではありません。お客様が知りたいのは、自分が何をしなければならないかであって、あなたが何をするかではありません。そんな当たり前をついつい忘れてしまい、気が付けば自分の言葉の世界に酔いしれている。

  「伝えたというあなたの満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切である

 この言葉は、そんな私が行き着いたものであり、私自身への戒めの言葉でもあります。

2008年9月9日火曜日

ケース・スタディ 2 :契約直前 どうすれば・・・

 急に秋らしくなってきました。ランニングには最適な季節到来です。ただ、営業にとっては、半期あるいは四半期の締め。数字合わせに奔走されていることと思います。

 ということで、「契約直前、こんなことが起きたらあなたはどうしますか?シリーズ(?)」の第2弾として、こんなケースを作ってみました。みなさんなら、どうしますか?

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 東西技術工業には、年初より、サーバー統合とVM導入によるシステム運用環境の再構築を提案してきたのですが、ほぼ決着がつきそうな状況となってきました。
 東西技術工業の大崎システム本部長とは、ほぼ内容について合意ができ、今月20日に行われる経営会議で承認を得ることができれば、契約できるとの言質を取り付けています。

 そんな折り、大崎システム本部長から連絡があり、財務担当の竹田執行役員が、「実行することに反対はないが、費用の削減と予算執行の時期を半期ずらせないか」との打診があり、どうにかならないかとのことでした。

 あなたは、既に今月末の受注をフォーキャストしています。四半期の締めでもあり、金額も大きいので、契約をもらわないわけには行きません。

 あなたは、直ぐに大崎システム本部長に面会を申し入れました。大崎本部長も快諾し、直ぐに打合せをすることとなりました。

 大崎本部長に会うと、かれもどうすればいいのか困っていました。打診とはいうものの実質的には、竹田執行役員からの業務命令です。従わないわけにはゆきません。しかし・・・ 

1.現行の発注仕様では、これ以上費用の削減は困難であること。
2.厳しい納期をやりくりして、既に機器の先行手配をしていること。
3.来月からの作業に備えて、エンジニアも押さえていること。

などを大崎本部長には説明し、変更は簡単なことではないことを訴えました。しかし、大崎本部長にしても、業務命令に従わないわけにはゆきません。

問題1:あなたならこの状況にどのように対応しますか?

問題2:もし過去に戻って対応できることがあったとすれば、どういうことができたでしょうか?

さて、いかがでしょう?コメントにて、回答をお寄せください。

2008年9月8日月曜日

帰宅ラン 落雷 ビール

 先週は、金曜日、土曜日と研修講師。二日間の立ちっぱなしは、結構疲れました。ただ、それ以上に、研修を受講された方が、「つかれたのは、こっちですよ!」となっていなければいいのですが・・・

 そんなこともあって、土曜日の研修終了後、足は結構むくみ靴下の跡がしっかりと残っていました。しかし、その日は帰宅ランと決めていましたので、弱音を吐くわけには行きません。決行です。

 オフィースのある半蔵門から青梅街道、五日市街道を抜けて、自宅のある国立駅の北口あたりまで地図上では32Kmあります。今月末のフルマラソン・レースにはちょうどいい練習距離です。立ち食いうどんでガソリン補給。ランニング用のバックを背中に、18:30に出発しました。

 気温はそれほど高くはなかったのですが、じめじめとした空気。あっという間に汗が噴き出してきました。

 新宿通りを四ッ谷駅を越えて、新宿方面に。途中から外堀通りに出で歌舞伎町の手前。すごい人混みにとても走れません。歌舞伎町の手前から大ガードまでは、時計を止めて歩くことにしました。

 大ガードを越えて青梅街道。再び、走り出しました。普段あまり走ることのない幹線道路沿いの歩道。走ってみると、これが意外と走りづらいことが分かりました。点字ブロック、マンホールのフタ、横断歩道や車庫の前の傾斜・・・思いのほか、足に負担かがかかって疲れます。最初はいいのですが、後半、意外にこたえてきます。

 補給は、コンビニ、suicaの使えるところと決めて、suicaをすぐ取り出せるウエスト・ポーチにしまって走り出しました。しかし、青梅街道沿い、五日市街道沿いとことごとくセブンイレブン。そうなんです、セブンイレブンは、suicaが使えないんです。時々、suicaが使えるファミマはありましたが、同様に使えるam/pmは皆無。これは、想定外でした。ちょうどいい具合にあった阿佐谷当たりのファミマで補給。しかし、あとはしかたがないのでバックをおろして財布を出して買い物です。 商品の配送効率を考えての出店なのでしょう。思わぬところでコンビニ・ビジネスの戦略の一端を垣間見ることになりました。

 西荻窪から吉祥寺に向かう途中、青梅街道から外れ女子大通りへ。既に新宿を過ぎた当たりから雷鳴が聞こえていたのですが、突然目の前にものすごい閃光と同時にベニヤ板を一気に引き裂くような、バリッバリッ!という大音響。一瞬全身の毛が逆立ちました。少し先に雷が落ちたようです。住人がバラバラと出てきて、ガヤガヤ・・・本当に驚きました。

 雷はずっと鳴っていたのですが、結局雨にふられることなく走ることができました。本当は、身体を冷やしてくれるので少し雨が降ってほしかったですが・・・。

 無事自宅に到着。21:20。3時間を少し切るくらいで帰り着くことができました。休憩も考えると実際の走行時間は、2時間30分~40分。途中、時計の押し間違えで、正確のところが分からなくなってしまいましたが、まあ、こんなところでしょうか。

 シャワーを浴びて、ビールでもと冷蔵庫を開けたのですが・・・ビールがない!ショック!今更、コンビニに買いに行くのももう面倒です。仕方なく炭酸水で渇きを癒やしましたが、寂しい夜になってしまいました。

 「事前にビールは買っておくべし」。この日、帰宅ランで学んだ最大の教訓です。 

2008年9月4日木曜日

「それ以外」という仕事

 営業という仕事は、「それ以外」と言われて、なるほどと思われる方も多いのではないでしょうか。

 業務や経理、SEやプログラマー、それぞれに自分の職掌区分は、かなりはっきりしています。しかし、営業という仕事は、そこには収まりきらないそれ以外のすべてが自分の仕事です。自分が担当するお客様に関することなら、何でも自分の仕事です。SEさんの仕事ではないとすれば、CEさんの仕事ではないとすれば、あるいは、経理の方の仕事ではないとすれば、それらはすべて営業の仕事です。

 しかし、そんな自覚に乏しい営業諸氏もいるようです。「自分の仕事じゃないから」。まあ、いいですが、では誰の仕事なんですか?それをお客様や自分の周りスタッフに考えさせるようでは、営業失格ですね。

 「それ以外」という自覚は、営業にとって大切なことだと思います。だいたい、仕事なんて言うものは、シナリオ通りに進むものではありません。いつも何かが起こるもので、「これはあなたが対処すること」なんて、最初から名札がついているわけではありません。

 まずは営業が引き受ける。それが仕事であり、その自覚がなければ、お客様からも社内からも信頼されず、営業であることの存在価値を疑われるだけです。割り切って、いつもほほえみを絶やさず(?)、「私がお引き受けします」と言える営業。かっこいいですよね。

 だからといって、自分だけでこなせることには限界はあります。特に、ソリューション・ビジネスの世界では、ひとつの案件に対応すべきことは多種多様、関わる人や組織も多く、ひとりの営業がすべてを判断し、差配することは簡単なことではありません。チームの助けが必要です。それをプロデュースすることもまた、営業の大切な仕事です。

 ただ、お客様にとっても、プロジェクトに参加する社内のメンバーにとっても、窓口は、ひとつであって欲しい。彼に頼めば、ちゃんと段取りを整えてくれる。そんな信頼感を得ることこそ、営業の喜びです。

 「それ以外」の仕事は、営業にしかできないことです。言い換えれば、ビジネスをプロデュースする仕事です。これは、とてもスペシャリティの高いプロフェッショナルの仕事。そうは、思いませんか?

2008年9月3日水曜日

情報を隠す上司の愚

 人に仕事を任せることは、簡単なことではありません。

 先日こんなことがありました。あるITベンダーの営業部長が、2週間ほど前の営業会議で、自分の部下に「この案件については、君に任せる。頼むよ!」と権限委譲。彼も張り切って、「分かりました!頑張ります。」とニコニコしながら意欲をみなぎらせていました。

 そして、先日、再び営業会議に同席したところ、こんな会話のやり取りがありました。

営業部長:「注文手続き、まだ進んでいないようだけれどもどうなっているの?」
担当営業:「A部長に話をしたのですが、社内の手続きがまだなので、あと2、3日待ってくれないかとのことでした。」
営業部長:「この間、この件で設備工事を請け負っているM社の営業課長と別件で話をしたとき決裁がのびているので、まだ2~3週間かがかかるらしいと聞いたよ。(強い口調で、感情的に)なぜ、君は、そんな話も知らないんだね。君の話とは矛盾するじゃないか。」

 みなさん、どう思われますか?

 私は、即座にその部長に申し上げました。

 「部長、それはないでしょう。もし、そんな情報が入っていたなら、なぜ彼にすぐに知らせないのですか?彼に任せたのなら、彼に処理させるべきです。今になってそんなことを言うのはおかしいですよ。」

 営業部長は、ムッとしていましたが、これでは任された営業部員は意欲を失います。同時にこの営業部長は、この発言で自らの信頼も大きく損ねてしまったのです。

 営業部長にしてみれば、叱咤激励のつもりだったのかもしれません。しかし、少し意地悪に考えるならば、他の部下の手前、自分の方が営業として、その情報収集能力が優れていることを見せたかったのかもしれません。

 どちらにしても、この営業部長は、権限委譲のなんたるかを理解していなかったことは確かなようです。

 部下に仕事を任せるとは、自分がやるべき仕事を切り出し、部下に委ねることです。しかし、失敗は自分が引き受けることを自覚しなければなりません。

 部下は仕事を任されたことを誇りに思い、やり遂げようと努力します。任された仕事が、彼の能力や経験を越えているからこそ、やり遂げてみせるという意欲が生まれるのです。日常こなせる仕事を任されるのでは、仕事を押しつけられた、また仕事が増えたと感じるだけですから、彼にとっては、なんら成長の機会とはなりません。

 しかし、一方では、不安もあります。「失敗したらどうしよう・・・」と。だからこそ、失敗の責任は自分にあることを任せた側は明確に伝え、一緒になって成功することを望まなければ、彼の成長のチャンスを奪うことになるのです。

 結果から言えば、この営業部長は、彼に情報を隠したのです。そして、自分の持っている情報を武器に優位に立とうとしたのです。そして、その目論見は見事に成功しました。その後、担当営業君曰く「だったら、俺になんか任せずに自分でやればいいんですよ。」とぼやいているのを聞きました。

 権限委譲をするときに決してやってはいけないことがあります。
 1.情報を隠すこと。
 2.ベテラン(できそうな人)にばかり任せること。
 3.任される人を募集すること。

 権限委譲とは、単なる負荷の分散ではありません。責任を負わせ、意欲を高め、成長の機会を与えることです。マネージメントの大切なミッションです。

 改めて、そのことを考えさせられました。